「おはよう」 彼女のその一言が私の耳からだんだん遠退く日々が続いている。 離れて気付く事もある、正に今、しみじみ感じている。 佳代は高校に入った途端、スカートを短くし、髪を染め、化粧をし始めた。 性格も以前より社交的になり、いわゆる高校デビューを果した。 中学校の時、同じクラスだった。 親友とまではいかないけれど仲は良い方だった。 受験の時期は特に親しい日々が続いた。 少し遠い高校のせいか、受験する生徒が同じ中学の中で私と佳代しか居なかったせいだ。 だが、佳代がこの高校を選んだ理由が分かった。 佳代は、変わりかたっかのだろう。 新しい学校、新しい土地、新しい出会い、新しい友達。 全てをリセットするかのように入学紀の日、髪を染めた彼女が現れた。 まるで別人のようだった。 彼女の「真美、おはよう」その一言の為に毎朝学校へ向かう。 いつ聞けるかは分からないけれどその一言で空も飛んでしまえそうな私が居る。 |